市民後見人について
厚生労働省によると、市民後見人については、その定義や所掌範囲が明確ではないが、研究会報告書等において
●弁護士や司法書士などの資格はもたないものの社会貢献への意欲や倫理観が高い一般市民の中から、成年後見に関する一定の知識・態度を身に付けた良質の第三者後見人等の候補者
●市民後見人については、成年後見人等に就任すべき親族がおらず,本人に多額の財産がなく紛争性もない場合について、本人と同じ地域に居住する市民が、地域のネットワークを利用した地域密着型の事務を行うという発想で活用することが当面有効である。
●市民後見人に委嘱する事案としては、難易度の低い事案、たとえば具体的には「日常的な金銭管理や安定的な身上監護が中心の事案、紛争性のない事案等、必ずしも専門性が要求されない事案」が一般的に想定されている。
もともと定義が曖昧なものではあるが、一般市民が後見人になるという点では一致しているかと思います。
今後、親族等による成年後見の困難な者が増加するものと見込まれ、介護サービス利用契約の支援などを中心に、成年後見の担い手として市民の役割が強まると考えられることから、市町村は、市民後見人を育成し、その活用を図ることなどによって高齢者の権利擁護を推進する。 ために、育成を進めているものです。
市町村において、成年後見人を確保する為平成24年4月1日に、老人福祉法第32条にその2が追記されています。
第三十二条 市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条 、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。
(後見等に係る体制の整備等)
第三十二条の二 市町村は、前条の規定による審判の請求の円滑な実施に資するよう、民法 に規定する後見、保佐及び補助(以下「後見等」という。)の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るため、研修の実施、後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 都道府県は、市町村と協力して後見等の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るため、前項に規定する措置の実施に関し助言その他の援助を行うように努めなければならない。
そこで、以下の事を目的に『市民後見推進事業』というものが作られました。
認知症高齢者や一人暮らし高齢者の増加に伴い、成年後見制度の必要性は一層高まってきており、その需要はさらに増大することが見込まれる。また今後、成年後見制度において、後見人等が高齢者の介護サービスの利用契約等を中心に後見等の業務を行うことが多く想定される。
したがって、こうした成年後見制度の諸課題に対応するためには、弁護士などの専門職後見人がその役割を担うだけでなく、専門職後見人以外の市民後見人を中心とした支援体制を構築する必要がある。
このため、認知症の人の福祉を増進する観点から、市町村(特別区を含む。)において市民後見人を確保できる体制を整備・強化し、地域における市民後見人の活動を推進する事業であって、全国的な波及効果が見込まれる取組を支援するものである。
事業内容は、大まかに下記の様になります。 全文を見る[PDF]
(1)市民後見人養成のための研修の実施
(2)市民後見人の活動を安定的に実施するための組織体制の構築
(3)市民後見人の適正な活動のための支援
(4)その他、市民後見人の活動の推進に関する事業
となり、市民後見人の為の研修が各地で開催されています。
実際にこの講習を受けるとどんな事があるのかというと、Q&Aに記載があります。
Q1 後見人養成講座を受けると、後見人の資格が得られるのですか?
A1この講座は、受講することによって何らかの「資格」が得られるとか、行政が後見人として「お墨つき」を与える、などという性格のものではありません。
もともと、後見人となるための特別な資格はありません。次の欠格事由に該当する人以外で、本人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人等となるものの職業及び経歴並びに本人との利害関係の有無、本人の意見その他一切の事情を考慮して家庭裁判所が選任します。(民法第 843 条より)
と、なるので後見人になった時の知識を学ぶものでしかないのです。
そして、気になるのが実際に後見人になった時の報酬。
Q2 市民後見人として選任され、後見業務を担う場合、報酬はあるのですか?
A2 市民後見人の活動については、報酬付与の審判申立は、行わないことを前提としています。
なお、後見業務に要した実費は、被後見人の資産から支払われます。
ということで、あくまでも善意でおこなうものです。空いた時間の副業としてできるものではありません。また、ネックになるのが
Q6 仕事をもっていても、後見人の業務ができるのでしょうか?どのくらいの時間が後見の業務に必要なのですか?
A6 後見人等の業務内容は、その案件によりさまざまであるため、一概には言えませんが、一般的に後見人の業務と仕事を両立することは不可能ではないと考えられます。(一部抜粋)
もちろん、兼任している人もおりますが、手続きやらなんやで会社を休まなければならない機会が出てくるのでその問題をクリアしなくては勤まりません。
実際の講習は、
後見業務を担うにあたって、より実践的な実務についての講習を行います。(認知症・知的障がい・精神障がいのある方とのコミュニケーションのとり方、財産目録の作成の仕方、後見計画の立て方、など演習も含む)
などを行います。
参考に、室蘭市におけるものを参考に掲載。
1.市民後見人の定義
後見人は、親族が選任された場合を親族後見人、親族後見人以外の人が選任された場合を第三者後見人と呼び、第三者後見人のうち専門職が選任された場合を専門職後見人、専門職以外の一般市民から選任された場合を市民後見人と呼んでいるが、法律上の呼称ではない。このうち、親族後見人や専門職後見人といった後見人については定義付けも可能と思われるが、市民後見人についてはどのような人を指し、どのような人が後見人になれるのかといったことが不明確であり、その定義は困難である。
また、機能、実施形態等についても統一化されたものはなく、各自治体の実情や実施団体の意向等に左右されることから、その中身は多様なものとなっている。
市民後見人について統一した見解や明確な定義がない中で、比較的によく知られているのが、日本成年後見学会の報告書にある「弁護士や司法書士などの資格はもたないものの、社会貢献への意欲や倫理観が高い一般市民の中から、成年後見に関する一定の知識や技術、態度を身に付けた良質の第三者後見人等の候補者」である。
なお、市民後見人の成立要件としては、一般的に次のようなものが考えられている。
① 専門職ではない一般市民を担い手とする
② 家庭裁判所から選任された第三者後見人
③ ボランティア精神に基づく市民後見活動
④ 行政が関与する支援組織による養成と活動支援
⑤ 市民としての特性を活かした後見活動
4.報酬
後見人に対する報酬について、厚生労働省が「成年後見制度利用支援事業」の中で示している「在宅で 28,000 円、施設で 18,000 円」は、あくまでも法定後見制度で成年後見人として選任された場合(個人後見人として受任した場合)に支払われる報酬の参考単価であるとの考え。
ちなみに、平成 25 年 1 月 1 日付けで東京家庭裁判所が発出した「成年後見人等の報酬額のめやす」では、「通常の後見事務を行った場合の報酬のめやすは月額2万円」としている。
小樽・北しりべし成年後見センターは在宅を 8,000 円、施設を 4,000 円と設定しているが、日常生活自立支援事業と同程度の業務内容であること、また、月 1 回 2 時間程度の活動であることなどから、日常生活支援事業の時給 950 円でも十分だと考えているとのこと。なお、視察したその他の先進市においても、月 2 回程度の業務で時給 950 円と設定しているところが多い。
報酬については、これらの事例を踏まえ、今後担ってもらう業務に応じて適正な単価を設定したい。

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